黒い化け物

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黒い化け物

俺は、気が付いたら暗闇の中に居た。何故か息が切れており、血の匂いがする。 頭がぼんやりしていて、何も思い出せない。暗闇を暫く見回すと目が慣れてきた。 そして、最初に見えた物は、人の死体。それから所々に飛び散る血。 完全に暗闇に慣れると、そこには、数え切れぬ程の死体があった。 更に俺は、手に刀を持っていた。 俺は一体何をしていたんだ......? 驚きや恐怖と言う感情より、疑問と言う感情が深かった。 暫く、その場で立ち止まり、ぼーっとしていると突然、耳に響くブザーの音と同時に暗闇が眩しい光に照らされ、真っ白な部屋に変わった。 部屋の形は、長方形で横幅が広く、部屋全体が白い鉄のタイルの壁で囲まれていて、俺から見て正面に大きな窓ガラスがあった。 ガラスの奥には、四十代と二十代くらいの白衣を着た、二人の男が立っていた。 すると、また次は、二回ブザーの音が短く鳴り響き、四十代の男が俺に話しかけた。 「被験体No.二十二調子はどうかな?」 被験体.....?俺は実験されていたのか? まだ頭がぼんやりしている。意識がはっきしない。 「被験体No.二十二聞こえているか?」 俺は口を動かそうとするが、疲れているのか、体全体が重く、口も開かない。 「様子がおかしいな......助手君、見てきてくれないか?」 「はい。分かりました」 正面の窓ガラス横にある小さな扉が開き、二十代の男が、俺に近づいてきた。 「被験体No.二十二僕の事が分かりますか?」 俺は力無く、首を縦に振る。 「では、此処がどこか分かりますか?」 俺は、首を横に振った。 「なるほど......」 二十代の男は、奥の部屋へ戻り、もう一人の男に報告した。 「どうやら記憶障害を起こしているようです」 「そうか......良し、連れ戻して来い」 「分かりました」 すると、再び二十代の男は、俺の所まで来て、無言で手を引っ張り俺を奥の部屋へと連れて行った。
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