序章 私の夢は……

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誰が作ったのか知らないけれど、この時間という概念は本当に煩わしい。 真っ暗闇の室内で、ただモニター画面だけが私を照らしている。 夜通しかけて行っていた作業はまだ終わらない。 そろそろ出勤の時間だわ。 社会生活に溶け込むためには、時間という概念に合わせなければならない。 作業を中断し、服を着て荷物を持つ。 外に出る前に鏡を見なくちゃね、念のために。 長い黒髪を軽く手櫛で整えて準備は終わり。 大切なペンダントは服の下へ。 さあ、今日も詰まらない日常の始まり始まり。 でも、これも私の夢のため。 我慢しなければ。 我慢なんて嫌いだけど。 欲望に身を任せることを人は嫌うから。 いい子でいなければね。 いい子に見せなければね。 もうすぐよ。 あなたと私の夢を叶えられるわ。 健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も……私は神様に誓ったの。 あなただけを愛すると。 この誓いは、死がふたりを分かつまで続くのよね。 どちらかが死ななければ、この誓いは有効ということでいいのかしら。 だったら、私は死なない。 あなたの愛と夢を引き継いで生きていく。 ……なんてね。
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