第1章 平和な日常

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「あ、あのダチュラさん。今晩空いてますか?」 仕事中の私に少し緊張気味に訪ねてきたのは、国家防衛管理局の新人君。 先月行われた入社式を無事に終えた期待の新人。 金髪に青い瞳で顔も整っているため、早くも女性社員の噂の的になっていた。 「お疲れ様です、ブライトさん。私この後用事がありますの」 デートのお誘いだったことは分かり切っている。 下手に繕わず、定型文のように断った。 その方が良い。 長い人生で得た処世術だもの。 正直、坊やの相手をしている程暇ではない。 「あ……、そうなんですね」 明らかにガッカリしている。 少し可愛らしいかもと思ってしまう。 「実は、この前の歓迎会でダチュラさんとお話してとても楽しかったので、またお話できればと思ったんです。迷惑でなければ、空いている日に一緒に食事に行きませんか?」 受付という仕事をしている最中の私に対して、かなりストレートに口説いてきた方だと思う。 見た目は小動物っぽく気弱な感じがする子だと思っていたけれど、自分に自信があるのか堂々としているわね。 まあ、こんな所に就職してくるのはまっすぐな人間だろうとは思っていたけれど。
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