第1章 平和な日常

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広いロビーに位置する小さな受付で働く私。 ロビーには行き交う人も若干いるし、私の隣には後輩も座っている。 正直、こっそりと口説いてほしいものね。 「あら、嬉しいです。また皆さんとお話しをしたいですね。よろしければ、男性社員と女性社員でお食事に行きませんか?」 「あ……そうですね! こっちも男性社員集めておきます!」 一瞬の間はあったものの、彼の表情はすぐに明るくなり自分の仕事場に戻って行った。 日時と時間は、また伝えに来るとのこと。 「先輩! 先輩! その合コン、私も行って良いですか?」 口説いてきた子がいなくなったと思えば、今度は食事会に参加したがる子が迫ってくる。 私とブライトの会話に聞き耳を立てていた、隣に座る私の後輩リア。 聞き耳を立てなくても、この距離なら丸聞こえね。 彼女はブライトが入社する少し前に入社した 栗色のボブに同じ色素のくりんとした目のかわいい子。 「合コン? 食事会よ」 「どう考えても合コンじゃないですか! やった! こんなに早くチャンスが巡ってくるなんて!」 隣の後輩は拳をにぎりしめて小刻みに震えている。 「チャンス?」 「そりゃ、ここのエリートをゲットすることですよ! 私、その為にここに就職したんですから~。まあ、ここの受付に募集してくる女の子なんて、皆そうでしょうけどね~」 なるほど理解したわ。 この国の国家防衛管理局は、確かに花形職業で間違いない。 地位と名誉はもちろんのこと、建前上は命をかけて戦っているわけであり給与もそれなりに高い。 きっと彼女のように、そんなエリート男性に養ってもらいたいと考えている女性は多いのだろう。
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