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>ねぇ、どうしてもっと前に
言ってくれなかったのよ
部屋の時計が23時を過ぎた頃、
3年付き合っている龍也に綾はLINEを送った。
お風呂で濡れたままの髪で部屋のベッドに横たわり
その辺に転がっていたクッションを抱き締めると小さなため息が出てしまった。
龍也とは大学4年の時に出会い、付き合った。
就活真っ只中、
内定をもらった人だけで飲み会をしようと
誰かが言い出し
なら他の大学の奴でも仲良い人呼ぼうよなんて話が広がったのだ。
綾は友達に誘われて半分無理やりに
連れていかれたのだが、
その場には同じような仲間がいた。
それが 龍也 だった。
同じく連れてこられた仲間、
綾は龍也を似たもの同士かと思ったが
そうでもなかった。
話せば話すほど龍也は綾と違って
内面的に自立している人だった。
同じ年なのに、綾より前を歩いているような
そんな雰囲気。
綾はそこに魅力を感じた。
前を歩く彼について行ってみたいと思ったのだ。
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