8/8
前へ
/14ページ
次へ
龍也が待っている最寄りまでは 歩いて10分くらい。 携帯で時間を確認するともう日付が変わる数分前だった。 東京とはいえここは比較的静かな所だから 余計にこの時間は人がいない。 サンダルの音を聞きながら なんとなく夜空に視線をやった。 東京の空に星が無いとは半分嘘で、 でももう半分は本当だと思う。 今、綾の目に星は少ないものの映っている。 小さく消え入りそうだが見える。 だから星が無いとは嘘なのだ。 ただ、星に気づく人が少ないだけ。 真夜中でも明かりが灯っているビルの方が 無意識に人の目を引いてしまっているだけ。 数多の星が見たいなら人は場所を移動する。 よってここには星を求めている人がいない。 その意味で言えば 星が無いとは半分本当でもあると思うのだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加