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青い空がどこまでも広がっていた。
限りなく続く淡い青色に、自分の人生をうつし見た。
人生の音がしないか空に耳を澄ましてみたけど、聞こえてきたのはチョークが黒板をたたく音だけだった。
どうやら、中学一年生の私に人生の音はまだ早いらしい。もっと勉強をしなくてはいけないみたい。
「福山君。『青春』の青ってなんで青色なのかな?」
国語の授業中、教科書にあった一語がふと気になった私は隣の席の彼に聞いてみた。
福山君はつまらなそうにペンを回しながら教科書を眺めていた。
突然の質問に驚いた彼は、柔らかな目を精一杯見開いてこっちをじっと見つめる。
「あっ、ごめんね福山君。変なこと聞いちゃったね。」
「...うーん。わかった!きっと青春してる人には空が青く見えるんだよ!」
シャーペンで青空の映る窓の方を指して自慢げに彼は答えてくれた。
私はくすっと笑って、
「それだと晴れの日はみんな青春してることになっちゃうよ。」
と言った。
「そっか、確かに。じゃあ宮本も俺も、今青春してるってことだな。」
そう言って彼も微笑んだ。私は、彼のそんな優しい笑顔が大好きだった。
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