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ジャンル応援「悪」
<プロット>
主人公がトラックにひかれて目を覚ますと、異世界にいた。
そこは「魔王」の振りまく瘴気によって、人々が病に倒れ、次々と命を落としていく世界。
その中で、理由は分からないが魔王の瘴気に当たっても病気にかからなかった主人公は、人々を救うために魔王討伐の旅に出る。
旅の最中、主人公は蘇ってくる転生前の記憶から魔王の瘴気による病気が、「インフルエンザ」であることに気がつく。
主人公は瘴気を受けない特異体質などではなく、単に抗体を持っていただけだった。
主人公は行く先々の町で、自分の血液から精製した薬を配り人々を救っていく。
主人公が最後にたどり着いたのは、魔王の城。
配下の魔物たちを倒し、ついに魔王の元までたどり着く。
しかし、魔王の居城の最上階にいたのは、病に伏せた一人の人間であった。
「魔王」もまた、主人公と同じくこの世界に転生してきた人間であった。
彼は転生したときには既にインフルエンザに感染しており、瞬く間に異世界の人間にインフルエンザが流行した。
「魔王」を延命するためにかけられている「治癒魔法」は、インフルエンザウィルスも活性化し、彼の病気が治ることはない。主人公は魔王にかけられた治癒魔法を解除し、戦わずして魔王を倒す。
魔王が息を引き取るその瞬間、主人公は生前のすべての記憶を取り戻す。
自分がHIVウィルスに感染していること。
それに絶望し、トラックにはねられて死に、転生してきたこと。
この世界は、まもなく滅びる。
彼が病気の治療のために配ってきた薬は、既にHIVウィルスに汚染されている。
潜伏期間が過ぎれば、この世界の人々はAIDSにより大量死するだろう。
主人公は病気を治すために薬を配ることが「善」だと思ってやってきたが、ただのHIVをばらまく「悪」になっていたことを嘆くのだった。
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