僕らのヒーロー

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僕らのヒーロー

 御花町にある、御花中学校には。ちょっとした、生きる伝説のような人物がいる。  中学一年生の柳生幸児は、さながら恒例行事のように――朝一番からその光景を眼にしていた。 「蘭堂ううううう!今日こそは絶対許さんぞおおおおお!!課題を、出せええええ!!!」  鬼の形相で校庭を失踪しているのは、複数の教師たち。スーツに革靴はこの時期かなり暑いはずだ。そして走りにくいことこの上ないはずである。  しかし、彼らはそんなことさえ気にしない様子で一心不乱に足を動かしているのだった。彼らが阿修羅の形相で追いかけているのは、一人の紺色の制服姿の少女である。 「嫌だぁぁぁ!古文も数学ももうやりたくないよおおおお!人間の言葉に見えないんだよあたしはもう補習地獄に落ちたくないんだぁぁぁぁ!!」  ずだだだだ、と漫画よろしく砂煙を上げて少女は疾走していく。教員たちもかなり頑張っているようだが、距離は徐々に開きつつあった。あれでは撒かれるのも時間の問題だろう。
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