プロローグ

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『今回のテーマなんなん?』 「海」 『俺の出番か?』 『じゃあ僕はお留守番かな?』 「そんなわけないでしょ。みんなで行くぞ」 なんてことない、一般道から少しそれた小道を行くと、地元民が溢れる商店街がある。 昼間は主婦や小さな子供で賑わう馴染の風景。 そんなのどかな風景の傍ら。 この街には少し物騒なエリアがある。 といっても、表向きは繁華街、ネオン街と言われるエリアだ。 きらびやかな格好をした男女がフラフラと路地裏に消えていく。 少しガタイのいい明らかにオーラのある方々が堂々と道路の中央を歩いていく。 酔っぱらって気持ちよさそうな男達がまた次の賑やかな飲み屋に騒々しく入っていく。 一般的な繁華街と決定的に違うのは、誰もが腐った顔をしている。 一言でいうなら「ヤバいエリア」だ。 クズばかりが集まっている土地。 ぶっ飛んだ奴ばかり集まってくる。 それ故に、大変秩序の乱れたこのエリアでは、頻繁に発砲音なり乱闘騒ぎが起こる。 こんなことが許されるこのエリアは、今の日本から見放された土地だった。 警察組織は機能している。表向きは。 この土地は謂わば肥溜め。手に負えない事情を抱えた奴らが集まって、傷をなめ合って共存している。 共存できている、とは言えないが。 でも、こんなクソみたいなエリアにだって安置くらいはある。 その安置を脅かされた奴らは、どうなってしまうのだろうか。 脅かす奴らは、誰の手によって、どうなってしまうのだろうか。 .
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