海賊の頭蓋骨に挿した薔薇

3/12
前へ
/12ページ
次へ
以上を踏まえて、私の眼前に広がる海を‘虚妄だ’と譬えることが出来るだろう。‘海は虚妄だ’。これで尊厳を得られる。しかし、‘海は青い’と言えば途端に眼科か精神科にかかることを勧められる。これは思想の問題ではなく、角膜と水晶体の初動、或いは精神に異常があると凡その人が考えるからだ。しかしやはりこの件に関しても不合理が作用しており、虚妄と言われる青はこの世界のどこにもないのだ。ただ‘海は赤い’という常識がそれを阻む。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加