観察者A

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 一年生が部室に揃っている昼休み、塔屋を昇る階段の方から足音がして、扉が開く。 「お、なんだ、揃ってんじゃん、暇だねー、皆」  姿を表したのは、顧問の海老名泰(えびなあきら)だった。あきらという名ではあるがれっきとした女性、しかも、甘乃川女子高校の卒業生だ。担当は生物だが、地学の授業が無いためと、かつては天文部に在席していた経験から、長年天文部の顧問も努めている。  そういう泰も手には職員室でまとめて購入している仕出し弁当があり、昼食をとりに来たという意図は明白だった。
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