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どこかでこれを読んでいるあなたへ
そこが私のいる世界と違うことを望みます。
あなたの世界はどんな世界でしょうか。たぶん、私のいる世界は貴方のいる世界とそう変わらないでしょう。
歴史とはそんなものらしいです。
世界が変われば戦国時代の日本を統一した男の名は違うかもしれません。ヨーロッパに私の知らない国が存在しているかもしれないし、その逆もありえるかもしれません。
けれど、それが人間である限り、歴史の大きな流れは変わらないのです。
人は道具を使って、世界中に広がっていく。そしてそれぞれの地域の気候に合わせて人は進化し、そして文化を形成する。船ができれば海に漕ぎ出し、空を飛ぶために飛行船や飛行機を作り出す。やがてこの大地だけでは飽き足らず、いよいよ宇宙に飛び出していく。
欲望のままに文化を広げ、そして争い、人間が人間を支配する。けれど、人間の平等な権利を叫ぶものが人間の中から現れ、争いと平和を繰り返しながら人類という種(しゅ)は歩いていく。
あら、私としたことが歴史を語ってしまったわ。
失礼。
私は何も歴史を語りたいわけではないのよ。歴史は大きな流れであって、作り出すのは人間であるといいたいだけ。
そんな意味では私の世界は間違っている。
人間でもないくせに人間という種を守る存在。いきなり歴史の表舞台に現れて、私たちはそれぞれの国に閉じ込められた。
東王(とうおう)父(ふ)。私の国ではそう呼んでいる。
でもそれは人の姿をしている、全く違う生き物。
時に男なのに女。強いのに弱い。
ありえないほど完璧なのに傷だらけ。
全てを知っているのに、何もを知らない。
何でも突き通す矛と傷一つつかない盾。
私がその存在をきっと完全にわかることはできない。
だって私は東王父ではないから。
だから、私の代わりにあなたにわかって欲しいのです。勝手なお願いであることを承知しています。
けれど、どうか・・・この世界を助けるヒントをください。
かしこ
銀条知沙
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