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「にゃーん」
次郎はいつも私に甘えてくる時と同じ声で鳴いた。
同時に周囲にいた猫も私の方を見た。あーバレてしまった。静かに見守るつもりだったのに、これでは逃げられてしまう。
しかし意外なことに猫たちは逃げなかった。どうやら次郎の身内だと分かってくれているらしい。
小さな頃から次郎と一緒に育ってきた私を猫の仲間と受け入れてくれたのだろうか。嬉しいなぁ。
恐る恐る近寄っていくと誰も逃げなかった。山の裾野に座ると、すかさす次郎がすり寄ってきた。
知らない猫たちも何匹かすり寄って甘えてくる。なんて可愛らしいのだろう。
しかし油断して構いすぎたりすると鋭い爪や小さな歯で攻撃されることもある。あれは結構痛いのだ。スパッと切れるから血もたくさん出るし。
「君たちはここで集会して何をしているのー?」
猫なで声で猫たちに聞いてみる。
「にゃーん」
誰かが返事をしてくれた。意味は分からないが幸せな時間だ。
明日もここで猫の集会が開かれるのだろうか。もしそうなら明日も参加したいなぁと思った。
猫の集会に参加するのは、猫好きにとっては危険を侵す価値がある。改めてそう思った。
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