全てが仕組まれている

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「それは当事者が考えるべき事じゃないの?だって、私には想像もつかないもの。」 一瞬にして、僕の中で何かが崩れ落ちていった。 確かに彼女には想像もつかないだろう、彼女は当事者ではないのだから。 そして僕は理解した。僕の母親は女性の権利に関しては人一倍敏感だけれども、自分以外の事に関して何も興味が無いのだと。 いや、正直な話、彼女は彼女以外の問題に関して興味が無いのだと実感させられた。 吐き気がした。 散々僕に対して、自分の辛い事を垂れ流してきていながら、その他の事に関しては自分の問題ではないから関知しないという、彼女の身勝手さに。 結局、お前は自分さえ良ければそれでいいんだろう? 今まで我慢してきた自分の気持ちの中で、何かが弾けた。 「当事者が考えればいい?じゃあ、母さんが今まで主張してきた事に関して、それに反する答えが同じ女性から返ってきた事があったよね?その時の母さんの答えは、周りの女性が洗脳されているって言ったよね?」 僕がいきなり熱を帯びた声で反論した事に驚いたのか、彼女は目を見開いた。 「だって、本当に彼女達は洗脳されていたのよ?主張する事すら諦めていたのよ?」 少し声のトーンを落としながら、動揺したかのように彼女が言う。     
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