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僕はそれを静かに受け取り、彼女へ吐き出す。
「ずっと昔から、思っていた。そしてそう思う自分がおかしいと思っていた。」
僕は静かに声に出す。
「でも、高校に入ってから、自分がおかしいんじゃないって気がついた。おかしいのは母さんじゃないかって。」
コーヒーを一口飲んでから、僕は続けた。
「たしかにこの世界にはやりきれない事がある、それが男性であれ女性であれ。それに対して否定する気はまったくない。けど、そうじゃない事に対して過敏に反応する人達がいるっていうのも正直言って実感する事が多かった。そして、そう思う人の中の一人があなただったというのは、かなり大きな衝撃だった。正直言って、あなたから女性に対してのネガティブな事ばかりを聞かされて、女性に対してひどく偏った考えを持つようになってしまった。」
ふうっと一呼吸おいて僕は彼女へ続ける。
「母さん、もう嫌なんだ。もう限界なんだ、自分が女である事が苦しくてたまらない。女でいる事をやめたい。」
その瞬間、僕の目の前に青いマリア像が一瞬浮かんでは消えた。
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