1039人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ごめんね…ハルちゃん…」
ミナトの小さな手が、私の手をギュッとして。
それで少し冷静さを持ち直した。
…いけない。
今は、この子達に不安を与えないようにしないと…
「いいのよ、ミナト。それより、どこも痛くなかった?」
「うん。大丈夫。」
「良かった。今度から、前をちゃんと見て歩いてね。私も、手を繋ぐの忘れてごめんね。」
カナコとミナトに謝ると、二人はハルちゃんは悪くないよ、と、しっかり手を握ってくれた。
「何か美味しい物買って帰ろうか。」
「やったー。カナコ、シュークリームがいいな。」
「僕もー。」
…今は、忘れよう。
あの人の事は…
一階のケーキ屋に寄って、シュークリームとケーキをいくつか買った。
夕飯の食材も買って、駐車場に向かう。
久しぶりに街に出たらしい二人は、すでにクタクタ。
車に乗り込むと、すぐに大きなあくびをした。
その可愛らしさは、凍り付きそうだった気持ちを包んでくれるようだった。
最初のコメントを投稿しよう!