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「……721円です。」
目の前の毅彦さんは、驚いた顔で私を見た。
そうか。
そんなに驚くほど、私は酷い見た目なのか。
「商品、このままでもよろしいですか?」
「あ…ああ…」
ずっと連絡もしないまま、よくもこうやってのこのことコンビニにやって来れたもんだ。
私は毅彦さんと視線を合わせないまま、お金を受け取った。
「…痩せたな。」
店内を見渡して、客も店員もいない事を確認すると、毅彦さんは言った。
痩せたな?
それが第一声?
他に何かあるんじゃないの?
そう思いながら、毅彦さんの前の客に預かった、宅配の伝票を整理した。
「連絡できなくて悪い。携帯なくしてさ…そのままちょっと仕事で遠くに行ってて。」
「……」
「晴子の携帯の番号、分からないから…つい来ちまったけど…来て良かった。何かあったのか?」
何かあったのか?
その言葉に、私の眉がピクリと動いた。
「病気でもしたのか?」
実際、オーナーからも休めと言われるほど、私は痩せた。
本当は、先週行った精神科で、バイトは辞めた方がいいと言われた。
どうして?
何も変わってないのに。
伝票に視線を落としたまま、私は返事をしなかった。
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