みんな嫌い

3/16
1027人が本棚に入れています
本棚に追加
/372ページ
「……721円です。」 目の前の毅彦さんは、驚いた顔で私を見た。 そうか。 そんなに驚くほど、私は酷い見た目なのか。 「商品、このままでもよろしいですか?」 「あ…ああ…」 ずっと連絡もしないまま、よくもこうやってのこのことコンビニにやって来れたもんだ。 私は毅彦さんと視線を合わせないまま、お金を受け取った。 「…痩せたな。」 店内を見渡して、客も店員もいない事を確認すると、毅彦さんは言った。 痩せたな? それが第一声? 他に何かあるんじゃないの? そう思いながら、毅彦さんの前の客に預かった、宅配の伝票を整理した。 「連絡できなくて悪い。携帯なくしてさ…そのままちょっと仕事で遠くに行ってて。」 「……」 「晴子の携帯の番号、分からないから…つい来ちまったけど…来て良かった。何かあったのか?」 何かあったのか? その言葉に、私の眉がピクリと動いた。 「病気でもしたのか?」 実際、オーナーからも休めと言われるほど、私は痩せた。 本当は、先週行った精神科で、バイトは辞めた方がいいと言われた。 どうして? 何も変わってないのに。 伝票に視線を落としたまま、私は返事をしなかった。
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!