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「悪かった。」
「何が、でしょう。」
「…晴子、全部話すから、明日会わないか?」
「……」
「これ、新しい携帯の番号。電話してくれ。」
「…番号変えたの?」
「ちょっと厄介事があって。」
「……」
ふいに、女の平手打ちを思い出した。
思い出して…少しだけ気分が悪くなった。
新しい番号の紙を受け取る。
これに電話したら、私は楽になるの?
食事もできるようになって、悩む事もなくなるの?
毅彦さんにもタケシにも、心を乱される事はなくなるの?
「とにかく、電話待ってる。」
そう言って、毅彦さんは出て行った。
私は、その後姿を見つめて…
携帯番号の書かれた紙をゴミ箱に捨てた。
もう、終わりよ。
さよなら、毅彦さん。
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