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「ああ、そうそう。実家のお母さんは何ておっしゃってるの?ハルちゃんが休めるなら、実家に帰ったらどうかしら。ここだとタケシの世話しなくちゃいけないしね。」
名案と言わんばかりに、姑は明るい顔でそう言った。
だけど、引きこもりの兄がいて、さらに鬱病と診断された私がそこに帰るのはどうだろう?
母親は、それでなくても神経質。
下手したら、一家全員で鬱病だ。
「…帰りたくありません。」
初めて発した言葉がそれで、姑はガッカリした顔になった。
ここにいても、息子のお荷物でしょう?と言いたそうな顔で、私を見る。
「どうしてこうなっちゃったのかしらね…別に何不自由ない生活だったでしょうに…」
姑の本音が出た。
それを聞いた私は、つい言ってしまった。
「…子供がいないからですよ。」
「え?」
「子供が欲しかったのに…」
「い…今からでも大丈夫じゃない?」
「無理です。」
「どうして。あなた、不妊治療行ったりしてるの?今までプレッシャーになっちゃいけないと思って言わなかったけど、どちらかに問題があるんじゃないの?」
問題。
問題があるのは、私を抱けないタケシに?
それとも、タケシをその気にさせられない私に?
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