みんな嫌い

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数日入れてなかった携帯の電源を入れた。 途端に、入ってくるメール。 サトシから5件。 それを読んで…私はメールをした。 『サトシ、連絡できなくてごめんね。あなたとの事が家族にバレたの。もう会えないわ。』 バレてなんかない。 だけど、あえてそう書いた。 その方が、あっさり別れられるからだ。 それを送信すると、すぐに電話がかかってきた。 『マジで?ハル大丈夫なの?』 「…大丈夫よ。」 『もう会えないなんて辛いな…俺、結構ハルの事本気だったのに…』 嘘だとしても嬉しいわ、サトシ。 だけど、今はもう要らないの。 不思議なくらい、性欲もなくなってしまった。 『ねえ、ハル。旦那と別れて俺と一緒になるってのはダメ?』 思いがけない言葉に驚いてしまった。 サトシはまだ22歳。 そんな事を思ってるなんて、予想もしなかった。 「…あなたはまだ若いわ。私みたいなおばさんを相手するより、同年代の…」 『何言ってんだよ。年なんて関係ないだろ?俺はハルの事…』 「やめて。無理だから。」 『ハル…』 「ごめんね、サトシ…私今精神科も行ってて、全然ダメなのよ…あなたの知ってる私じゃないわ。」 『精神科…?ハル、どうして?』 「疲れたの。何もかも…」 その後もしばらく、サトシは自分と結婚してくれと言ったけれど、私はそれに応えることはなかった。 社長の息子というサトシが魅力的じゃないわけがない。 でも、年の差がありすぎる。 今は良くても、いつか…タケシのように他に女を作る。 今の私には自信がない。 誰かの心を引き止めておく自信が。 さよなら、サトシ。
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