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木村サイド
「木村先輩、ここは俺に任せてくれませんか」
時限爆弾を睨みつけながら、田中が真っ青な顔で俺に話しかけてきた。何が言いたいんだ。
「へへっ、今日の射手座のラッキカラーは赤だったんですよぉ!」
そう叫んで田中が赤色の線を切ろうとする。
「馬鹿野郎! そんな理由で決めるんじゃない!!」
俺はとっさに田中を殴りつけて静止した。そんな馬鹿みたいな理由で決められてたまるか。ハリウッド映画じゃないんだぞ。
それに正解は青色の線だ。青色を切れば時限爆弾は止まる。
なぜ知っているかって? 決まっているだろう。俺がこの爆弾を作った犯人だからだ。
誤解しないでほしいのだが俺は爆弾魔じゃない。むしろ爆弾の解体が仕事だ。
爆弾の解体を勉強するつもりで色々機械をいじってたら、いつの間にか爆弾が完成していたのだ。悪気はなかった。
自分でもどう組んだかよく覚えていないので、解体できずに、この廃ビルで爆弾を爆発させるつもりだったのだ。
それが見つかってしまったのだ。くそー誰だよ通報した奴はよー馬鹿野郎がよー。
もちろん一番の馬鹿が俺自身だということは分かっている。
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