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田中は若いがうちの部署でもトップレベルの実力を持っている。俺が半分寝ぼけて作った時限爆弾を見事な手際で解体していった。ありがとう田中。
だが、一番最後の赤と青の二択は分からないようだった。俺はそこだけは覚えている。
青だ、青を切るんだ。青が正解なんだ。
そう教えることができれば楽なんだが、俺がなぜ青だと知っているかがバレるとまずい。犯人だとバレてしまう。
しかも俺は田中より実力が無いポンコツ人間だ。田中が分からない二択を俺が見抜くのも不自然だ。困ったな……。
そうだ。
「田中よ、失敗したら死ぬんだぜ。そんな格好悪い理由で死ねるかよ」
「じゃあ格好いい理由だったら良いってことですか!?」
「最後くらい格好つけて死にたいのさ。男だろ」
俺は精一杯動揺を隠して伝えた。大丈夫だよな、声は震えていないよな。
「今日は抜けるような青空だったな。真夏の熱い太陽が嫌になるくらい明るく輝いていた。俺たちの運命もよ、あの綺麗な青空に託してみないか?」
よし格好いい。これは格好いいだろ!! 田中よ、説得されてくれ。
「分かりました木村先輩!! あの青空に輝く真っ赤な太陽のような赤色を切れってことですね!!」
「うぉい!! 違うよ馬鹿!! 青を切れってんだよ!!」
俺は田中を殴りつけて止めた。思わずまた手が出てしまった。こいつわざとやってんじゃないだろうな。
「木村先輩、これを見てください」
ん? なんだ。
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