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田中サイド
木村先輩が俺から爆弾を奪って青色の線を切った。なんてことを!
俺は目をつぶって床に伏せた。少しでも衝撃に耐えるためだ。
しかし何も起こらなかった。見事に爆弾は止まったようだ。
「木村先輩、やりましたね!!」
俺は爆弾を抱えて呆然としている木村先輩の手をとって笑いかけた。
「きっと木村先輩の亡くなったお父さんが守ってくれたんですね。えーと海の色がどうだとかで」
「あ、あぁそうだな。親父に感謝しなきゃな」
木村先輩は力無くつぶやいた。
「いやまぁ親父生きてるけど……」
「そうですね! 俺の親父も木村先輩のお父さんも、俺たちの心の中でしっかり生きてますよ!」
「そういうことじゃないんだけど……まぁいいか」
木村先輩は目に涙を溜めて弱々しく笑った。その笑顔が最高に格好良くて、俺はいつか木村先輩みたいになろうと硬く誓ったんだ。
「もっと青に関する良いエピソード、探しておかなくちゃな……」
木村先輩がぼそっとつぶやいた言葉の意味は分からないけど。
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