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「え…?いいの…?」
突然声をかけられたことに驚く愛子。
周りの生徒はもちろん、女子三人はそれ以上に驚いていた。
「別に嫌ならいいけど」
「…食べる!食べる!」
愛子は涙目で喜びながら、持参のお弁当を持って私達の席へ来た。
「俺一郎」
「俺入口」
数ヶ月もこの学校へ来て時間が経つというのに、私達三人は見事に他の誰とも会話をしたことがなかったのだ。
「一郎君…入口…菜々ちゃん、ありがとう…」
「何で俺だけ呼び捨てなんだよ」
「あ、ごめん…」
見た目も私達とは違って普通の愛子。
このメンツの中では誰がどう見ても浮いているけど、それもまたいいな、なんてぼんやりと思った。
それからは移動教室やバスまでの帰り道、愛子を含める四人は一緒だった。
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