石造りの隠れ家

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石造りの隠れ家

「どういう!ことだ!キッド!」 室内に放り込まれて目隠しを外されたトントールが開口一番キッドを責めた。怒鳴られたキッドが、うるさそうに耳をふさいで口を開く。 「あんたは体は重いのに口が軽いので有名だろ。いろいろと喋られちゃ困るんだよ」 ここは水瓶座の隠れ家である。不思議なヘーゼルグリーンの瞳の青年と再会したアルフィナとトントールは彼に導かれるまま秘密の通路を抜け、ここへ来た。その道中、トントールはずっと目隠しをされていたのである。文句を言いたくなる気持ちもわかるが、自分と水瓶座との関係や隠れ家の在処などをベラベラ吹聴されては厄介だとキッドは面倒そうに返した。 「連れてきてやっただけでも有難がれよ」 「ちがう!!」 トントールが肥満体を揺すって否定した。 「水瓶座の仲間なら、どうしてメアリーやフラクセンの乙女を紹介してくれなかった!!!!」 今日一番の大声であった。声の大きさに一瞬目を丸くしたキッドが、雑貨屋の言う内容を理解するなり呆れ顔になった。 「……だって、こうなるだろ」     
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