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彼の一途な想いを受けるのは夏海だけだと、それはずっと変わらないものだと思っていた。
「あのさ」
立ち止まった彼が、体ごとふりむいた。
「なに?」
「澪って呼んでいい?」
にっこり笑ってうなずく。嫌だなんでいうわけない。
「あたしも鈴城くんの名前、呼びたいな」
彼はむかし、明貴という自分の名前を女みたいだと嫌っていた。
でも、あたしは、あきちゃんと呼ぶことをただ1人許されている夏海がうらやましかった。
「いいよ」
鈴城明貴ははにかんだ顔でうなずいた。
「あきくん」
「澪」
呼び合ってみたら、なんか恥ずかしい。
「そ、そのうち慣れるよな」
明貴くんはそういったけど、あたしはこういうのも悪くないなって思ったんだよね。
「ね、あきくん」
ちょっとだけ身長差のある彼の耳に、つま先立ちで口を近づける。
「ずっと好きだったよ」
(完)
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