2、消えない想い

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 鈴城くんは、そのことをよく知っているはずで、それでも彼女を見る目はちっとも変わらない。  早くあきらめればいいのに。  あたしも。  となりで電車を待つ人は、嫌味に気がついたのか、なにも答えない。  気まずい空気のなか、なぜかやたらと視線だけを感じる。  ほんと、最近どうしたんだろ?  鈴城くんは夏海しか見つめないはずなのに。 「俺、高清水さんに言いたいことあったんだ」  「え?」  思わず彼の顔を見ると、いつも生まじめな表情が、さらにかたくなっていた。大きな目のなかに、あたしが映ってて、頬がほんのり赤くなっている。  それはとても不思議な表情で、緊張と興奮がまじったよう。こんな鈴城くんを見るのははじめてだ。 「つきあってもらえない?」 「どこに?」  我ながら、まぬけな返しだったと思う。  鈴城くんはプッと笑って、ちょっと目をそらし、片手で口もとをおおった。それから、ますます赤い顔して、視線をもどす。 「そういう意味じゃなくて。俺とつきあって、って言ってるんだけど」 「え、なんで?」  意味がわからない。  夏海をあせらせるために、偽装恋人になってとか、そういうこと? 「なんでって、その……好きだから」 「は? 誰のこといってるの?」 「俺が好きなの! 高清水さんのことが!」     
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