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「そんな。…畏れ多いです」
「畏れ多い?なんで?」
彼は本気で面食らったらしく、ぽかんとした顔つきになった。…だって。
わたしはどんな顔をしていいかわからず、彼の肩先に額を押し当てて下を向いた。こっちから申し出て、わたしのこと抱きしめて暖めてくださいとか。図々し過ぎて絶対言えないよ。
エニシダさんの不審げな様子がありありと伝わってきて、焦って口を開く。
「わたしはあの、いいの。いつどんなタイミングで言われたって。いつでも切り替えて対応できるけど。…あなたの方がその、デリケートだから。そんな気分じゃないとか、他のことが頭にあって集中したい時とかあるかも。そんな時にうっかり声かけてペースを乱しちゃったらと思うと。…エニシダさんがあっためてほしいと思った時にわたしもあっためてもらう、ってことで全然構わないよ。わたしは、それだけで」
もともと他人と一緒にいることも苦手な人だし。触れ合うってことになると更に神経質になってもおかしくない。
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