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次の日は雨でした。
女神様は雨が嫌いだったので、今日は帰ってこないだろうと神様は考えました。
そこで、今のうちとばかりにゴロゴロ、ダラダラしていたら眠ってしまい、目を覚ました時にはすっかり辺りが暗くなっていました。
いつの間にかどんぐりの数がひとつ増えて、3つになっていました。眠っている間にリスが来たようです。
「うーん、ここに巣でも作る気かな」
神様はちょっと心配になって来ましたが、今のところとくに問題はないので気にしないことにしました。リスがどんぐりを置いているのは以前女神様が寝ていた場所なので、女神様が帰って来てからなんとかしよう、と。
また次の日、神様が待ち構えているとやっぱりリスがやって来ました。
リスは神様が見ていることなど全く意に介していないような様子で、今日もどんぐりをひとつ吐き出しました。
「リスや、そろそろ片付けたらどうかね」
リスはチチ、と鳴くばかりです。
「もしかしてわたしへの贈り物かね?」
リスはまたチチ、と鳴いて帰って行きました。
どんぐりは4つになりました。
次の日もやって来たリスに、神様は両手いっぱいの木の実を差し出しました。
「ゆっくりしておいき」
リスは嬉しそうに木の実を貪り、食べきれなかった分を頬袋にいっぱいに詰めて重たそうに帰って行きました。
神様は5つ並んだどんぐりを見てにっこり笑うと、眠りにつきました。
次の日、神様は独りでした。
もうすっかり日が落ちたのに、女神様はおろかリスさえも来ませんでした。
神様はぼんやりとどんぐりを手の中で転がしていました。すると、
「む?」
どんぐりに傷がついていることに気付きました。目の前に持って来てよくよく見ると、文字のようにも見えます。
「むむむ?」
神様は5つのどんぐりを、リスが運んで来た順番にじっくり観察してみました。
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