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め え る し ろ
めえる しろ
メール しろ
「……おぉ」
神様はポンと手を打って懐から折りたたみ式の携帯電話を取り出すと、ぎこちない手つきでいくつかボタンを押し、耳に当てました。
プルルルル… プルルルル… ピッ
「あ、もしもし…」
「なんで電源を入れてないんだい!!」
耳元から突然大きな声が聞こえたので神様は怯みました。
「わ、忘れて…」
「イマドキ紙ヒコーキとかふざけとるんか!メールせんか!メールを!前に教えただろう!」
「だってよくわかんないんじゃもん…」
「全知全能じゃないんかい!」
神様はぐうの音も出ませんでした。
「ごめんなさい…」
「そもそも近況はインスタに全部あげとるからわざわざ話すことなんぞないわ。っつうかメールも面倒じゃからさっさとLINE登録しておくれよ」
「いんすた?ラーメン?」
「インスタントじゃない!インスタグラム!全くこれだからジジイは…」
「女神ちゃんもババアじゃん」
「神ちゃんといっしょにするな!まだまだ若いもんには負けんわ!」
その晩、神様は遅くまで女神様と通話していました。内容はほとんどお説教だったので神様のメンタルはズタボロになりましたが、久しぶりに女神様の声が聞けて嬉しそうでした。
次の日、女神様が帰って来て言いました。
「スマホ買いに行くよ!40秒で支度しな!」
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