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怒られているわけではないのだが、侑平は自分が叱られている気分になる。
「いや、君を責めているわけでは」
「そいつの不機嫌が治ったら、天変地異が起きるぜ!」
なんとか気分を立て直そうとする礼門に、さらなる打撃を与える奴がいた。そいつはタオルを頭に巻いたアロハシャツの、いかにも海の家で働いてますという男だ。
「黙れ、海坊主!お前まで何をやってんだ?」
礼門の怒りの矛先が変わる。そう、彼は海坊主なのだ。名前に反して坊主頭ではなく、茶髪だった。
「俺?海の家でバイト」
にかっと笑い、焼きたてだよと焼きそばが差し出された。美味しそうだ。
「いただきます」
「いいって。侑平ちゃんには奢り」
受け取った侑平の肩をばちばちと力一杯叩いて、海坊主こと矢野海斗は豪快に笑った。
「ははっ」
この人もフレンドリーだなと、侑平は割りばしを割りつつ苦笑するしかない。しかも、ちゃん付けって。
「全く。この状況がすでに天変地異だよ」
馬鹿らしいと、礼門はしゃりしゃりとかき氷を崩す。
「それはまあな。にしてもお前、肌白いな」
海斗はちゃっかり礼門の横に座り、長居する気満々だ。ツンツンと礼門の肩を突いている。
「日焼けするつもりはない」
「さすが平安人間。で、侑平ちゃんも白いな」
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