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ゾフィを助けに向かう、わるい魔法使いの無防備な背中を見て、せいぎの騎士は好機と思ったが、刃を向けずに共闘した。
炎の鞭が魔人の腕を縛り上げ、ゾフィが落ちる。ゾフィを受け止めた、せいぎの騎士に、わるい魔法使いは水の衣を投げた。水の衣は炎を防ぎ、怪我を治す。
そのとき、神の座から、みずの霊獣が現れた。みずの霊獣は、水の衣を取り返しに来たのだ。
ゾフィから水の衣を剥ぎ取ろうとする、みずの霊獣の前に、わるい魔法使いが立ちはだかる。
次の瞬間、ほのおの魔人の炎の剣が、わるい魔法使いの腹を貫いた。
それでも、魔力を振り絞って魔人と霊獣を追い返そうとする、わるい魔法使い。せいぎの騎士はゾフィを横たえると、光の盾を持って、わるい魔法使いと魔人と霊獣の間に割って入った。
聖なる光が眩しすぎて、ほのおの魔人は魔界へ、みずの霊獣は霊界へと逃げ帰った。
こうして、炎の鞭と水の衣と光の盾に加えて、炎の剣が現界に残された。
魔界の炎が燃え広がり、魂ごと喰われていく、わるい魔法使い。そこへ、傷の癒えたゾフィが駆けつける。もう、水の衣も間に合わない。
「俺に名前をつけてくれ」と、わるい魔法使いが言った。
「私の名を――ゾフィを、あなたに上げるわ」と、その瞬間、ゾフィではなくなった、つまらない村娘が言った。
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