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熱帯夜
寝苦しい夜だった。
エアコンの調子が悪く、設定温度を低くしてもあまり効果はないようだった。
悠斗は、冷たい水を飲むと目が覚めてしまった。
なんとなく窓の向こうが気になり、悠斗は、カーテンを少しずらして外を見た。
すると、アパートの前の道路からこちらをじっと見つめる女がいるではないか。
これが昼間なら気にもとめなかったかもしれないが、時刻は、一時になろうとしている真夜中である。悠斗は、不気味なものを感じながらも女を観察した。
女は、白のノースリーブにデニムで深夜なのにまるで日に焼けるのを避けるようなつばの広いハットをかぶっており、顔はわからなかった。
でも、悠斗には、女に心当たりがあった。
(沙織?)
悠斗は、先月、少しだけ付き合って別れた彼女がいた。
交際を申し込んだのも悠斗なら、別れ話も悠斗の方からした。
理由は、思っていたのと違ったからだ。
沙織とは、よくある合コンで知り合ったのだが、その時は、とても感じが良く、見た目もまあまあで悠斗は、いいなと思った。
だが、付き合いだすと、沙織は、かなり自分勝手でだらしなく、悠斗は、幻滅した。
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