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階段で二階まで降りた時だった。
あのハットの女と踊り場で出くわした。
悠斗は、心臓が止まりそうに驚いたが、女も小さく「ヒッ」と声を漏らした。
(え? 同じマンションの住人だったの?)
と、悠斗は、思ったが、女は、悠斗を見て慌てて踵を返し、上がってきた階段を転がるように降りていった。
沙織ではなかった。
女は、おばさんだった。
年齢は、よくわからないが、中年女性であることに間違いはなかった。
悠斗は、怖くなりコンビニへ行くのを止め、部屋に引き返した。
結局、女が誰だったのか。
なんのために、真夜中、このマンション付近をうろついていたのかはわからずじまいだったが、悠斗は、夜は寝て過ごすべきだと思った。
エアコンも買い替え、もうカーテンを真夜中に開けることもない。
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