「宿命のあだ名」

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浩一が風呂場へ向かったのを見届けた賢太郎は、もなみの方を見て言った。 賢太郎 「ところでな、もなみ」 もなみ 「何?」 賢太郎 「外でメシ食ってくるのは自由だけど、そろそろ今日メシを一緒に食った相手をウチに連れてきたらどうだ?」 もなみ 「またその話ぃ?もういい加減聞き飽きたんだけど・・・」 もなみは何度も聞いた父の言葉に辟易しながらも、時期が来れば隆道を家に連れてくるのも悪くないとは思っていた。 隆道とは、大学卒業後にお互いの時間に余裕ができたら付き合おうという間柄だった。もともとは高校時代からの付き合いで、彼氏彼女になってから3年、知り合っては9年という長い付き合いではある。 不思議なことに、もなみの家に遊びに来たことは一度もなかったのだが。 もなみ 「あー、わかったよ。年内には連れてきます」 賢太郎 「本当だな?約束だぞ」 鈴子 「(別に約束を取り付けるほどのことでもないと思うけど・・・)」 賢太郎 「ん?母さん、なんか言ったか?」 鈴子 「いえ、何にも言ってませんよ」 賢太郎 「ようやく父さんの言うこと聞いてくれるようになったなぁ」 賢太郎は、なんとなく嬉しそうだった。
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