プロローグ

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 長内(おさない) (あお)は、ひとり、部屋を見渡した。部屋の電気やスイッチなど、出かける前の最終チェックだ。 「あ……」  部屋の隅に、写真立てが落ちている。普段は窓の近くに置いているのだが、先程まで窓を開けて換気をしていたせいか、風の影響で床に落ちてしまったのかもしれない。  蒼は写真立てを拾うと、ぱっぱっと埃を払って、また窓の近くの定位置にそっと戻した。  写真には、ウェディング姿の一人の女性が映っていた。彼女は青空の下で、眩しい日差しを受けながら、向日葵のような、明るい笑みを浮かべていた――
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