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あれは――聖の死から半年ほど経った、二年前の冬の、ある日のことだった。
その頃の藍子は、今よりももっと衰弱して、生きる気力を無くしており、大好きなライターの仕事さえも、まともに取り掛かれなかった。
毎日、ただ息をして生きていた。何もしなかった。朝起きると、仏壇の前に座って、夜、日が落ちるまで、そこから一ミリも動かず、ただぼうっと、時を過ごしていた。
そんな危うい藍子を見かねて、蒼はほぼ毎日といっていいほど顔を出してくれた。仕事が休みの日はもちろんのこと、仕事がある日も、終わればどんなに夜遅くても藍子のもとに駆けつけ、放っていけば何も口にしない彼女に、食事を摂らせた。
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