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一体インタビューはどうなったのだろう。ドキドキしながら、蒼は部屋に一人、待機していた。
スタッフのガヤガヤとした声が消え、玄関の扉が閉まる音がし、ようやく蒼は立ち上がって、部屋を出た。
廊下に――ぽつんと、ひとり、藍子が立っていた。何か答えを探すように、扉をじっと、見つめたまま。
「姉さん」
背を向けていた藍子は、蒼の方へとゆっくり、振り返った。
「蒼……」
藍子は視線を下にし、唇を噛み締めている。
「姉さん……どうだった? 青木さんと話してみて。俺、姉さんがあの人のこと好きだから、会えば、元気出るんじゃないかって――」
――と、蒼が言いかけている間に、藍子はずるずるとその場にへたり込んだ。
「姉さん? どうしたの? 大丈夫? もしかして体調悪い?」
藍子はふるふると、項垂れたまま、首を横に振った。
「――なんか、ね……」
それから藍子はゆっくりと、ゆっくりと、自分の心の内を吐き出した。未だに、聖の死の受け止め方が分からないこと。一人きりになると、たまに、訳もわからず涙が溢れること。聖のことを話そうとしても、できなかったこと。そして――青木ゆうに、そのヒントをもらったこと。
藍子は、泣いていた。はらはらと、涙を溢していた。それを見て、蒼は、肩の荷が降りたような、ようやく地に足がついたような、安堵感を覚えた。青木ゆうと対面していきなり泣き出したときはまた違う。三年間、深く深く閉じ込められていた彼女の孤独が、ようやく弟である自分の前に姿を現したのだ。
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