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向かい合って腰掛ける青木ゆうは、きらびやかで清潔感あふれるそのホテルの空間に、よく馴染んでいた。まるで、ここ一週間ほどこの部屋に泊まっていたのではないかと思うほどに。
『姉は、あなたのことが、すごく気に入ってるというか、テレビであなたのことを見ると、唯一、自然な笑顔を見せるんです』
『ふぅん。そっか』
にべもなく言った。掴みどころのない人だな、と蒼は思った。
『ライターの仕事をして、取材も慣れているから、きっとテレビカメラも問題ないと思います』
『へぇ、ライターさんなんだ』
『はい』
『ええっと――君の話によれば、そのお姉さんは……旦那さんを、亡くしているんだっけ?』
はい、と蒼は頷いた。
『……いいなぁ』
青木ゆうが、ぽつりと、呟いた。
『え?』
『いや、何でもない。こちらの話』
――――
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