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「三人で観に来てくれて、ありがとうね」
「こちらこそ、お招き頂いてありがとうございました」
深々と、藍子が頭を下げる。蒼も倣ってお辞儀をした。
そうだ、と青木ゆうがつぶやいた。
「二人とも、これから時間ある? よかったらご飯でも行かない?」
「えっ!! いいんですか!?」
藍子が瞬時に食いつく。荒かった鼻息が、更に荒くなる。
「うん。弟くんもいいよね?」
「はい」
「じゃあ着替えるから一旦部屋を出て待ってもらえるかな? 急いで準備済ませるから」
「あのっ! できたら着替える前に、写真を撮ってもらえませんか? 旦那も一緒に、四人で」
藍子が言った。遺影を、ぎゅっと大切に抱き締めながら。照れ臭そうに、はにかみながら。
もちろん――と、青木ゆうは微笑んだ。彼のマネージャーに頼んで、四人で写真を撮った。
「じゃあロビーで待っててね。着替えたらすぐ行くよ」
はい! と威勢良く返事をし、藍子が部屋を出ていく。後を追うように、蒼もまた退散するべくドアに向かって歩き出した。
――と、そのとき。
「っ!?」
急に後ろから肩を掴まれ、蒼はバランスを崩しかけた。
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