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「っう、さみし、さみしかったよ、万里さん、」
「うん。……うん」
「わふわふっ!」
「あさりいいいい……あさりもおおお……あさりもまぼろしじゃない……」
あたしはもうめちゃくちゃに泣きながら万里さんに頬ずりし、あさりを撫で、あさりはあたしの指を舐め、万里さんは優しくずっと髪を撫でてくれていた。
「何で……ふたりとも……助かったの……?もう、へいきなの……?」
えぐえぐと嗚咽が止まらないあたしの背中も撫でながら、万里さんは微笑む。
「ああ。助かったよ。……もう、平気だ。カノンの側にずっといられる」
「ほん、ほんとに……?!!夢じゃない……?!」
「ああ」
万里さんは落ち着かせるように、あたしの前髪にキスを落とす。あたしの手を優しく握って、自分の頬にあてて、「ほら。触れるだろ、幻でも夢でもない」と微笑んでくれる。
それだけで、どっと、心のダムが決壊した。
「――ただいま、カノン。もうどこにも行かない。お前から絶対に離れないよ」
「っ……う……万里さん……、あさり……、おかえり……!!おかえり……っ」
「わふ!!!」
あたしは満面の泣き笑いで万里さんにおかえりを言って、あさりを撫で倒して。
もう一度万里さんに思いっきり抱きついてキスをした。
万里さんはあたしの腰を強く抱き寄せて、深く深く、そして長く、そのキスを受け入れてくれた。
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