青の希望 青の絶望

　なんだ、この人の列は……。

　確かに今日からだ。
　今日からこの鵲沢水族館は今日からリニューアルオープンだ。
　だからと言って、これだけの人が集まったってか？
　あの、寂れに寂れていた鵲沢水族館だぞ？
　確かに建物は刷新されて三階建てになったけど、敷地は広がってないんだぞ？
　みんな、海〇館とかと間違えてないか？

「こんなチンケな水族館でも、リニューアルには人が集まるんだな」

　黙れ石本。
　水族館は、特にこの鵲沢水族館は俺の青春だ。
　馬鹿にすることは許さん。
　それに、お前だって昔は世話になっただろうが。

「世話ってまあ、確かに何回かは来たけど。昔って程じゃないだろ。精々五年ぐらい前までは来てた気がする」

　五年あれば生まれたての子供が幼稚園に行ってるんだぞ。

「確かにそうだけど。お前はしょっちゅう来てんの？」

　当然だ。
　分かったら、鵲沢水族館を馬鹿にするな。
　今は俺のホームだぞ。
　幼馴染のお前とはいえ、言って良い事と悪い事がある。

「何だよホームって。アウェイはどこだよ」

　観光スポットにあるオシャレ水族館に決まってるだろ。
　入館料が二千円を超すところとか。
　高校生には高すぎる入館料だと思わないか？

「まあ、そうかも」

　小遣いにだって限りってものがあるんだ。
　その点、この鵲沢水族館は五百円で入れるからな。
　実に優しい料金設定だよ。