恐怖を覚え、心に鎖

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 振る時のあや香さんもかわいらしく、僕も駄目元で告白を考えたこともあった。もちろん考えただけだ。結果の問題だけじゃない。僕なんかがあや香さんにそんなことするのは、花畑の中で懸命に生涯を全うする一輪の花に、下劣な糞を隣接させたのと同等。いじめの炎にオイルが追加される。  僕には人より理性がある。その分人より勇気が無い。だから告白しないんだ。教室の影で、思いをめぐらすだけで良い。――寝たふりをしながら……。 ――どうやらホントに寝てしまったみたいだ。もう教室には僕一人。明かりもついていない。電気にも無視されたか。  帰り道も僕のお先と一致して真っ暗。学校と電車までの道は長くバスか自転車を使うのが普通だが、バスに乗れば他の生徒と被り、自転車を使えば置いとく間に『アンパ●マン号』とか『free!』みたいな落書きをされる。鍵かけてるのにfreeはないだろう。いや、何ツッコみを入れているんだ僕は。くだらない……くだらない。  こんな仕打ちを受け続けていると、ホントに学校へ行くのが嫌になる。 「はぁ……」  それでも僕は、両親のために行かなきゃならないんだ。     
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