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★地球最後のお手伝い★
「お前、死ぬ気?だったらその前に手伝って欲しいことあるんだけど」
住んでいるマンションの屋上から下を眺め、飛び降りようとしていた私は声のした方を振り返った。
そこには、私と同い年位の17、8歳位の整った顔立ちの少年が立っていた。
「あなたは?」
「俺はノア。破滅の魔王の息子だ。お前が自殺するまでもなく、この世界を破滅する事は父上が決定した」
「なんで?」
「この世界の人間は調子に乗りすぎた。科学技術を進化させて神になったような気でいる。それが気に入らない父上は、一旦この世界を破滅させ、また世界を再構築しようとしているんだ」
「そう言う設定?あなた中2病なの?」
「チューニビョウ?」
わからないと言う風に首を傾げるノアという存在に、私はすっかり自殺する気を削がれてしまい、マンションから飛び降りるのをやめて彼の下に歩み寄った。
「で、破滅の魔王の息子が私に何を手伝って欲しいわけ?」
死ぬ気でいたので気の大きくなり腰に手を当てて尋ねた。
「町に魔法陣を描くのを手伝ってくれ」
「魔法陣?」
「魔法陣を指定した地点に描く。そして父上が魔界から破滅の呪文を唱えると、そこから魔人が現れて、全てがなくなるんだ」
「わかったわ」
どうせ死ぬつもりだったから、ちょっと付き合ってみよう。
軽い気持ちで承諾した。
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