44人が本棚に入れています
本棚に追加
瞬はハイドに一番に食べてほしかった。
考え事をしていてたどり着いたのはいつもは通らない路地裏でフラフラと歩くと大きな音と怒鳴り声が聞こえた。
その声はただの喧嘩のようには思えず声がした方向に急いで向かう。
人が通らない何もない寂れた場所に男二人に女性が襲われていた。
助けようと走り足を止めた。
「あ?誰だお前」
「…貴方達こそ、誰ですか?」
男達は騎士団の軍服を着ていた、だから騎士団の誰かかと思って近付いたが違和感に気付いた。
…一度ハイドの所属する騎士団を知りたくて本を調べた事があった。
騎士団の服は白い西洋の軍服だ。
…でも、この人達のは黒い…確かこれは旧騎士団の軍服ではなかっただろうか。
今更昔の軍服を着る騎士がいるのだろうか…いや、いるわけない…瞬は城の掃除をしていたからだいたいの騎士団の人達と会ってるから分かる。
じゃあこの人達はいったい、誰?
疑い出した瞬に怪しい男達の一人は腰に下げていた剣を抜いた。
女性が悲鳴を上げた。
「ちっ、二人にも俺達がハーレー国の人間だとバレちまった」
「何人始末しようが変わんねぇよ」
ハーレー国って、イズレイン帝国のライバル国でハイド達が制圧した国の筈…もしかして、生き残りの兵が復讐で潜り込んでいたのかと驚いた。
本来なら平民が無茶をしても怪我するだけで、騎士の誰かを呼んだ方がいいのだろう。
男の一人が女性の腕を掴み剣を突き立てようと振り上げた。
そんな時間なんてなかった。
すぐに女性の肩を押して男の腕から逃した。
瞬だって騎士団の人達に護身術を教えてもらってたから女性が逃げる時間ぐらい稼げると思った。
……ハイドが愛したこの国を瞬も守りたかった。
すぐに体制を整えようと振り返った。
女性を刺そうとしていた刃が勢いが止まる事なく向かってくるのが見えた。
腹部に鋭い痛みが走り体が熱くなった。
最初のコメントを投稿しよう!