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※?視点
暗い暗い闇の中
痛くもないし感情がない
でも、なぜだか涙が溢れてくる
あ…そうか、もう会えないから悲しいのか
…なにに会えないのだろうか
だめ…忘れちゃ…そう、あの人が待っている
ー可哀想な小鳥、死ぬ事を許されず羽根をもがれた飛べない鳥ー
この声は…異世界に導いた声だ。
でも、何の事を言ってるのか分からない。
小鳥?…と呟くと目の前いっぱいに白い羽根が舞った。
まるで自分の羽根が生えていて、毟り取られたような………考えるのはやめよう。
手を伸ばすとすり抜けてしまい触れない。
それがとてももどかしくて伸ばした手を握る。
ーさぁ、最後のチャンスです…飛べない小鳥が幸せになる物語を私に見せてくださいー
男とも女とも感じる不思議な声がした後、ガクッと意識がなくなった。
ーーー
がやがやと声が聞こえる、体を誰かに揺すられ強制的に起こされてゆっくりと目を開けると目の前に見えた太陽の光で目を閉じる。
…寝起きには毒でしかない。
眩しくて太陽をなるべく直で見ないように仰向けだった体を横向きにする。
すると、自分を囲むように人がいるのに気付き目を丸くした。
そういえば自分は何故此処にいるのだろう。
「おっ、にいちゃん起きたか?」
厳つい低音ボイスが聞こえて周りを見て探すと見覚えがある顔がいた。
あのおじさんはいつもお菓子の材料を買う時おまけしてくれる人だ。
そう思い周りを再び見ると、いつも行くイズレイン帝国の城下町だった。
…殺されたはずじゃなかったのかと刺されたであろう腹部を見ようとして違和感に気付いた。
白いシャツに黒い短パン…俺はこんな服を持っていなかった。
しかも濡れている、ますます分からなかった。
戸惑う俺に慌てたように女性が駆け寄り頭を下げた。
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