第一話

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驚いてハイドを見るとハイドはジッと瞬を見ていた。 ドキドキと高鳴る胸の音が聞こえない事を祈るばかりだ。 ハイドの男らしいが綺麗な形の唇が動いた。 その動きはとても魅力的に感じてボーッと魅入っていた。 「瞬も俺を愛してくれるか?」 一瞬愛の告白かと心臓が止まるほど驚いたが前の言葉を思い出し国民としてかとなんかチクリと胸が痛んだ。 今日会ったばかりなのに、何故か惹かれてしまう。 ハイドには不思議な魅力がある、初めて優しくされたからかもしれないがそれだけじゃない。 真紅の瞳で見つめられると体が縛られたように動かなくなりいろんな感情がパニックになる。 でも、この気持ちはきっと言っちゃいけないんだと本能が警告している。 瞬は寂しそうに微笑んだ。 「異界から来た俺を国民と認めてくれるの?」 「瞬がこの世界を選んで俺の目の前に現れたならこれは運命だろう、俺が瞬を守ろう…誰からも」 そう言いハイドは瞬を抱きしめた。 元の世界で認めてもらえなかった自分の存在を初めて認めてもらえた気がして、ハイドに顔を見せないように肩に顎を乗せて静かに涙した。 あれから瞬は住む場所がないから騎士団員の空き部屋を一つもらった。 毎日ハイドと共に過ごし、今まで感じた事がない幸せを感じた。 ハイドは魂の繋がりで引き寄せられた運命だといつも口癖のように言っていた。 城の人達も優しくてすぐに仲良くなった。 この世界が居心地よくて、元の世界に帰りたくない気持ちが強くなった。 それと同時にもしかしたら来た時と同じようにフラフラと帰ってしまう不安があった。 …元の世界に自分の居場所はなかったし、ハイドと離れたくないといつも不安に思い涙した。 その度にハイドがやって来て頭を撫で背中を撫でてくれるからどんなに救われたか分からない。 瞬はいつしかそれが恋だと気付き始めていた。 この世界が、瞬の居場所になった。 そしてこの国にとっての運命の日が近付いてきた。 イズレイン帝国とライバル国であるハーレー国との戦争だ。 勿論騎士団長であるハイドも行かなくてはならない。
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