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「リチャードさんは悪くないよ、俺がこの部屋にいるのを心配してくれただけだから」
「いい部屋なのに」と最後に言うとハイドは苦笑いしていた。
二人のイチャイチャを間近で見せつけられたリチャードは冗談で瞬に抱きつくものじゃないなと首を押さえながら思った。
ハイドはとても嫉妬深い。
リチャードの行動もそうだが、誰かと瞬が二人っきりになってるだけで噂を聞き飛んでくる。
昔を知るリチャードはー愛ってすげぇーという感想しか出なかった。
ハイドはリチャードを見て念押しで睨む。
「…リチャード、今度やったら」
「はいはいごめんなさい!二人でごゆっくり!」
恋人のいないリチャードにとって嫌味にしか見えないのか大股で歩き部屋を出てしまった。
女好きだが、特定の相手を作らないリチャードはもしかしたらもう既に心に決めた人がいるのかもしれない。
でもその相手に想いを伝えられず目の前でイチャイチャを見せつけられて意地悪をしたくなった。
だけどそんなリチャードも瞬達を必死に結婚させようと思ってる気持ちに二人は気付いている。
しかしお互い思ってる事が一緒なのに上手く伝えられずじれったいからリチャードじゃなくても早くくっ付けようと思うだろう。
リチャードもお茶に誘ってはどうだろうかとハイドを見上げた。
「んっ、んぅ…」
「…っは」
突然ハイドの美しい顔が近付いたと思ったら息が出来ないほどの口付けをする。
足がガクガクしてハイドにもたれかかると優しく抱きしめてくれた。
ハイドから与えられる全てが愛おしいと思っている瞬だが、一番好きなのは口付けだった。
ハイドもそれが分かっているのか、体を重ねる時に瞬の体にキスの雨を降らせる。
くすぐったいと微笑む瞬が愛しかった。
ハイドに優しく頬を包まれて今度は優しいキスをした。
首筋に顔を埋めてチュッチュッと音を立てた。
それがくすぐったくて笑うとヌルっとした感触がしてピクッと感じた。
「…ハイド、さん」
「もう少し待ってくれ、もう少ししたらお前を…」
ハイドの言ってる意味が分からなかったが頭を撫でられて頷いた。
もう少ししたら、意味も分かるだろうと考えた。
瞬はハイドの首に腕を回して抱きしめた。
…大好きで大切な貴方との生活、それが壊れるなんてこの時の瞬とハイドは知らなかった。
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