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朝起きると、床に手紙が落ちていた。
部屋に鍵はかけていたし、床に紙を落としたまま寝た記憶もない。
多分ドアの隙間から入れられたのだろうそれを拾い上げると見慣れた文字で
『至急、私の部屋に来るように!』
と書かれてあった。差出人はない――私の部屋というなら普通、差出人の名前は書くべきだと思うが、まあこんなことをするのは一人しかいない。
奏だ。
奏は一緒にシェアハウスをしている六人の内の一人で、自由人の中の自由人だ。それでも憎めないところは彼女の凄いところだと思う。
簡単に身支度だけを済ませ、何事かと急いで自由人の部屋に着けば
「悟、チョコレート好き?」
尋ねられた。やっぱり自由人だ。早く来い、と急かされた割には呼ばれた理由が適当すぎる。手紙に追記で書いた方が絶対賢いだろ。
帰るという手段もあるが、再度呼ばれるに違いない。新手のなぞなぞか嫌がらせか。ここは何て答えるのが正解なんだろう。
「ねぇ、何をそんなに悩んでいるの?好きなの?嫌いなの?早く答えて」
普通に答えていいのか……?
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